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美術・文化社会批評/アライ=ヒロユキのブログ


アライ=ヒロユキの美術・文化社会批評などの日々の活動を伝えます。
by PXP14154
美術・文化社会批評(ライター、講演)などの活動を展開しています。
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<   2010年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧


赤旗寄稿:ルオー展(5/14)

「しんぶん赤旗」(5/14)に「ルオー財団秘蔵 ユビュ 知られざるルオーの素顔」展(パナソニック電工 汐留ミュージアム、6/13まで)の展評を寄稿しました。ちょっと長い題名ですが、ユビュ展と略した方がいいのかも。
アルフレッド・ジャリが書いた不条理劇『ユビュ王』をパリの名うての画商だったアンブロワーズ・ヴォラールがキャラクター使用権を買い取り、『ユビュおやじの再生』として自ら戯曲化しました。その挿絵をフォービスムや宗教画で知られるジョルジュ・ルオーが描いており、挿絵だけでなく下絵、類作、書籍などがまとめて展示されています。
ヴォラールはアフリカ・マダガスカルの東にある島、レユニオン出身で、作品にはアフリカを舞台に、ヨーロッパ人の愚かな悪逆ぶりが描かれます。つまり植民主義の告発がテーマとなっているわけです。
作品は戯画化された太っちょ悪徳ヨーロッパ人。躍動感あふれる町の路上の人。アフリカの野生的な風俗。神話的な趣もある空飛ぶ怪獣。現地人を威圧する銃口など、過酷な支配もしっかり描かれています。黒い輪郭線が紡ぎ出す力強い動の魅力は、静の崇高さが印象深い版画『ミセレーレ』とは対極の世界です。
作品にはエデンの園を思わせるユートピア的表現も見られます。
ルソーの自然人が良い例ですが、ヨーロッパ思想は人類堕落以前の原郷を範として、社会批判や革命の思想を育んできました。ルオーはアフリカの野生の大地と人々に理想を仮託し、現世の告発という根源的な宗教画を作り上げたのではないでしょうか。
パナソニック電工 汐留ミュージアム

by PXP14154 | 2010-05-18 11:58 | 寄稿

NPO法人税制・寄付税制フォーラム

5/11に開かれた、「『市民公益税制プロジェクト・チーム中間報告』を読む〜PT座長 渡辺周総務副大臣をお招きして〜」に出席してきました。これは、現在民主党はNPOへの寄付金の税制優遇政策を実施しようとしていますが、その進行状況を渡辺周総務副大臣に報告してもらうとともに、民間であるNPO側の意見をアピールするために開かれたものです。主催はNPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会。
告知ページ

NPO法人アート農園の理事を務めていることもありますが、現在日本が向かおうとしている「新しい公共」の行方を見定めたいと思い、出席しました。また、美術でいえば、公共団体(政府、自治体)に財政を頼るのは、財政、理解度に限界があり、幅広く民間に活路を求める必要があるからです。

現在NPO法人は約4万ありますが、寄付金の税控除などの優遇措置を受けられる認定NPOはたったの127しかありません。認定率0.3%になりますが、アメリカでは95%と大きく開きがあります。また寄付金額も、日本のNPOへは年間3000億円ですが、アメリカは20兆円強と比較にならないほどです。
社会構造が違うので一概に言えませんが、社会の複雑化は日本においても、NPOにその底支えの役割が求められるところなっています。北欧では教育・文化の面でNPOが大きな役割を果たし、その高福祉社会の裏付けとなる経済力を支えています。日本がそうした社会に向かっていくのなら、NPOの問題は避けて通れません。

現政権の「新しい公共」もそうした時代の流れの中で打ち出されたものですが、一方で天下りの温床や安易で安価な行政の下請け先になる危険も秘めています。
民主党はさまざまな問題を抱えています。しかし税制控除による税収減からこの問題に消極的な財務省をあくまで突きあげようという渡辺周総務副大臣の姿勢には賛同でき、政治家の意識がだいぶ変わったことも印象づけられました。

by PXP14154 | 2010-05-13 13:07

琉球新報寄稿:「OKINAWA」展(5/8)

沖縄の美術作家を集めた「OKINAWAーつなぎとめる記憶のためにー」展の展評を、「琉球新報」(5/8)に寄稿しました。これは埼玉県東松山市の原爆の図丸木美術館で7月10日まで開催されています。
この展覧会は沖縄がどう捉えられている/捉えるかの表象(2008年に東京国立近代美術館で開催された「OKINAWA・プリズム」など)ではなく、目の前の現実を提示する、踏み込んだ表現を集めたことが特長となっています。沖縄作家だけではなく、丸木位里、俊夫妻の作品も一緒に展示され、沖縄の基地問題やヤマト(日本本土)による支配や戦争なども焦点になっています。
本展の出色は、メキシコ壁画運動に影響を受けたという儀間比呂志の版画《竜舌蘭》《掠奪の日の記録》です。生命力あふれるユニークなタッチで深刻な題材が表現されています。紅型(びんがた、沖縄の染め物)に米軍用機やパラシュート降下兵、ジュゴンの図像をあしらった照屋勇賢の《結い You-I》も出品されていました。
同時出品された、丸木夫妻の《沖縄戦ーきゃん岬》は、絵巻的な構図とタッチを持ちます。この大衆性と伝統へのアプローチのために、夫妻は日本の美術の中で異端の立場にいます。しかし上記の沖縄の作家と対置することで、日本美術の問題点と沖縄美術の可能性が浮き彫りになってきます。それは、1980年代に大衆的な版画表現で韓国の民主化闘争に関わった民衆美術、さまざまな土俗性と現代手法をミックスして現実をあばきだすアジアの現代美術などにつながっていく視点です。これは、普遍性を持つパースペクティブと言えます。
ほか、戦後になって活躍した「五人展」の中心人物、安次嶺金正、安谷屋正義の同時代日本美術とは異質なモダニズム表現、骨太さに支えられた金城実のリアリズム彫刻、仲里安広と近田洋一の重層的な構成の社会性の絵画、比嘉豊光による沖縄戦体験者のビデオ作品、オサム・ジェームス・中川による自決現場に刻印された物理的記憶の写真などがありました。
原爆の図丸木美術館のページ

by PXP14154 | 2010-05-13 13:06 | 寄稿

琉球新報寄稿:櫻川豊敏展(4/30)

沖縄出身の美術作家、櫻川豊敏(たかとし)の展覧会の展評を「琉球新報」(4/30)に寄稿しました。これは東京・銀座のOギャラリーUP・Sで、4月19日から25日にかけて開催されたものです。
作家は宮古島のドルメン遺跡との出会いから、その外形を伏せたコの字の抽象表現へと昇華させました。さらに、表面に散りばめられた珊瑚、砂と顔料が混ざった粗っぽい地の肌理は、作品への自然の導入。そして、コの字の図に層(レイヤー)のかたちで重ねられた珊瑚の散乱は、ドルメンを上から見下ろした鳥瞰図、神の視点でもあります。作品は幾つもの要素を加えた重層的な構成で、抽象表現の実験性だけでなく、自然の持つ聖性をも具えていました。
さらに、展示空間自体は一種のインスタレーション性があり、沖縄の沖縄の聖地、御嶽にも似ています。しかし作品名は「貧しき者」や「もの乞い」などの言葉を持ち、新約聖書的世界観も併せ持っています。この沖縄的とも言えるクロスボーダー性が、独特の聖の表現を作り上げていました。
御嶽はうたきと読むのですが、新聞社の方針でルビは付けませんでした。きっと、とても一般的なものだからなのでしょう。本土にない地域性を実感しました。
OギャラリーUP・Sの紹介ページ

by PXP14154 | 2010-05-01 14:43 | 寄稿