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美術・文化社会批評/アライ=ヒロユキのブログ


アライ=ヒロユキの美術・文化社会批評などの日々の活動を伝えます。
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赤旗寄稿:朝鮮陶磁展(6/11)

「しんぶん赤旗」(6/11)に「朝鮮陶磁ー柳宗悦没後50年記念展」(日本民藝館、6/27まで)を寄稿しました。ほぼ全館展示で展示数約270点、朝鮮民画も展示され、見ごたえのあるものです。
朝鮮陶磁はかつて李朝陶磁と言われましたが、国号でなく王家の名前で呼ぶのは国家を貶めているとされ、いまは高麗王朝に続く朝鮮の国号を取って、朝鮮陶磁と呼ばれています。
朝鮮陶磁は、華美な装飾性を排したシンプルな造形が特長です。中国の爛熟の一歩手前にある豪奢で完璧な美しさ、日本の独創的な意匠による個性表現とは違った味わいを持ちます。それは朝鮮時代に独自の発展を遂げたからですが、そこには儒教の影響があります。
巷の研究書にはそれ以上具体的に述べられていませんが、それを儒教の天人合一、人間は自然に従い、一体化して生きるべきという思想の故と捉えました。そこから、現代のエコロジー思想にもつながる、個性による作為を排した無名性の表現へとつながります。
朝鮮陶磁を再発見したのは民藝運動の柳宗悦です。彼は帝国主義の時代にあって、日本の政策にはっきり否を唱えたことでも有名です。彼は大衆のための工芸運動を創始したウィリアム・モリスに強い影響を受けています。そして社会主義者であったモリスの産業文明批判は天人合一、同じく造形思想は朝鮮陶磁と通底する部分が多いのです。柳による朝鮮陶磁の美術的解釈は現代から見れば誤りもありますが、彼はモリスの思想と朝鮮陶磁を生み出した天人合一の共通性に潜在的に気づいていたのではないでしょうか。
日本民藝館

by PXP14154 | 2010-06-18 19:32 | 寄稿
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